生もと造りの日本酒
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ぶるわーず

第2話 「米作り」
コーボ「ここがみんなで米作りをしている無天田の田んぼだな。井戸爺さんが言ってた良い米ができる条件は、エーッと、確か一日の温度格差が大きくて、雷が多いことだって…?なあんでだろうなー」
「それはね…!」
コーボ「エ、びっくり。誰?」
案山子「キョロ、キョロしてないでコーボくん。案山子のボクさ」
コーボ「あ、なあんだ、案山子君か、お役目ご苦労さまでした」
案山子「ありがとう。でね、土の中の栄養分は、活動的なイオンの形をしているときに植物の根に吸収されるんだ」
コーボ「うわ、すごい物知りだね」
案山子「ボクも土君とは長い付き合いで、勉強怠りないさ」
コーボ「そうか!ボクにも教えて!」
案山子「うん。それでイオンの形ということは、プラスかマイナスの電気をもっていること。つまり、土が肥えていれば、そこは電気を帯びているので雷も落ちやすいことになる」
コーボ「なーるほど。科学的根拠がちゃんとあるんだね!」
案山子「そう。それから、一日の温度格差が大きいと、実った米粒の中心部分の組織が粗く柔らかくなる。これを心白といって、普通の食べるお米にはないが、酒米にはとても大切な部分なんだ」
コーボ「そうだね。ねえ、ねえそれでボク心配なんだけど、今年は作況指数が悪いから、お米の質も良くないの?」
案山子「作況指数という言葉には誤解があるね。これは採れた総量を表しているだけさ。量が多くても一粒一粒の質が悪いこともあり、量は少ないながらしっかり実っていることもある。冷害といっても穂が出る初夏の頃が寒かったのか、受粉の頃に雨が多かったのか、粒が登熟する秋に日照が少なかったのかで結果は色々だ。採れた総量が少なければ値段が上がることは確かだが、大七にとっては一粒一粒の質の良し悪しが一番大事なんだよ」
コーボ「じゃあ、不作の年だからってお酒も悪いとは限らないんだね?」
案山子「その通り。むしろ酒造りの世界では『凶作に腐造なし』という言葉もある位だ。余分な栄養が無い凶作時の米のほうが、腐造の心配が少なくて造りやすいということだな。もちろん豊作で米の質もいいのに越したことはないけどね」
コーボ「そうなのかあ。案山子くんすごいね。ボクも頑張って役に立たなきゃ!」
案山子「オイオイ、気持は分るけど穂が実ってから肥料やるのは止めてくれ!やる時期には正しいポイントがあって、栄養ありすぎてもダメなんだ。それをまちがわずにやればタンパク質などの雑味が少ない良い酒米が出来るんだよ。品質のためには収穫量を欲張らないことも大事なことなんだよ」
コーボ「ゴメンネ。もうやめたよ。ねえ、ここの米の品種は何?」
案山子「酒造好適米の『五百万石』という品種さ。粒が大きくて、雑味の元となるタンパク質等の成分がもともと少ない。そして中心にはしっかりと心白があるんだ。普通米に比べて育てるのは大変だけど、昔から酒造りにはとてもいい米と言われているんだ」
コーボ「酒造好適米はお酒になったときどこが違うの?普通米でも良く精米すれば大丈夫?」
案山子「もともと素性のよい米というのは、単に雑味が無いだけでなく、お酒に品格というか旨味が出るんだ。特にじっくりと熟成させた後には、その差が歴然とするもんだよ」
コーボ「本当にお米は大事だよね。あれれ?向こうから大七の若い醸造部員たちがやって来た」
案山子「本当だ。稲の出来を確認してはせっせと刈り取ってハセ掛けしている。オーイ頑張れ」
醸造部員「ハイ!私達はお米にとっていいと思うことは全て徹底し、米の性質を把み、冬の仕込みに活かしてます。酒造りに限界は無いのでここは無天田と名付けたのです。頑張ります」

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