シリーズ:お酒が語る、酒物語

「極上生酛」

コーボ これから大先輩の極上生酛さんを訪問するんだ。こんにちは!コーボです!
極上生酛 いらっしゃい、コーボ君
コーボ 極上生酛さんは、大七の高級酒の先駆者です。発売されたのは平成元年4月でした
極上生酛 そう。この年から特級、一級、二級のいわゆる級別制度は段階的に廃止となった。私は従来の特級酒を上回る高級酒として計画され、満を持して登場したんだ
コーボ 当時は一升3千円もするお酒は少なくて、こんなに高級感があって美味しい酒はないと大評判になりましたね
極上生酛 今日に至る大七の高級酒の出発点になったと言ってもいい。級別無きあとの高級酒はどうあるべきか。この時じっくり吟味したんだ
コーボ それでどんな結論になったんでしょう?
極上生酛 高級酒は、ある種万能な、ヴァーサタイル(多才)なお酒であるべきだということだ。飲み方や用途を制約し過ぎるのは高級酒に相応しくない。ある程度の飲み手の自由を受け入れる度量の広さが必要なんだな。かつての特級酒の良さも知っている私はそう思う
コーボ なるほど!極上生酛さんは冷酒でのなめらかな口当たりと、お燗での力強いコクが、両方評判でした
極上生酛 うん。冷酒でだけ美味しければOKとはいかない。あらゆる面で十分に完成度が上がらなければ、大七では合格にならないんだ
コーボ そうかぁ。それって難しそうですね。どうやって出来るんですか?
極上生酛 私は吟味した米をよく磨いて造られるのだが、いわゆる吟醸ではない。お燗も大切だからね。特別本醸造で、使用するアルコールはもちろん米が原料だ。極上の生酛造りを表現するべく、味わいのすべりの良さ、上質感、そして骨太な力強さが表れるまで十分に熟成される。そうすれば、どんな料理にも幅広く寄り添えるんだよ
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コーボ つまり、料亭で楽しまれるお酒の理想像ですね
極上生酛 もちろん、家庭の晩酌でも楽しまれているよ。特級酒になじんだ世代のお客さまに愛飲家が多いかも知れない
コーボ 極上生酛さんは、とっても風格あるデザインです
極上生酛 ありがとう。奈良東大寺の正倉院宝物にある宝相華文様を最初に採用させて頂いたのが私だ。日本の正統を正しく継承していきたいという宣誓の意味を込めたものだ
コーボ 発売時は桐箱風カートンでした。現在は大七カラーと言える紺を基調としたカートンになっています。720mlの瓶の形とか、長い間にはいろいろな変遷がありましたね
極上生酛 そうだ。それも時代と共に生き続けるロングセラー冥利だよ。そして、コーボ君。実は驚かせるニュースがある
コーボ エエッ!何でしょう!?
極上生酛 発売25周年を機に、私は特別本醸造から、初めて吟醸に生まれ変わる。四半世紀が経ち、現在のお客さまにとって高級酒と言えば吟醸酒だ。私は冷酒でもお燗でもという昔ながらの万能性を受け継ぎながら、上品な香りも併せ持つ、味わい本位の生酛吟醸となる
コーボ うわー、それなら年配のお客様も若いお客様も、みんな大満足でしょう!
極上生酛 そう確信しているよ。何年も前から計画し、準備を重ねてきたんだ
コーボ 25年も生き抜いて、今も成長し続ける極上生酛さんて、すごいや!ご健闘祈ります!