生もと造りの日本酒
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第11話 貯蔵と瓶詰め
コーボ以前搾った生もと原酒がそろそろ熟成の時を迎えるな…。瓶詰め前に会いに行こう!
…… コーボ、原酒の貯蔵庫を訪ねる ……
コーボ「うわぁ、大きな貯蔵タンクに入っていたんだね。生もとさんは生まれてからどのくらい経ったのかな?いよいよ瓶詰めの時だよね」
生もと「やあ、コーボ君。久し振りだったね。私はこの涼しいタンクの中でざっと一年半くらい、じっくり過ごしたよ」
コーボ「じゃあ、外を見るのは随分久しぶりになるかい?」
生もと「ははは、そんな事はないさ。搾られてタンクに入った後、呑み切りといって半年間は毎月のように、その後も数ヶ月毎に少量のサンプルを採取しては、私の健康状態や成長度合いをチェックしてもらってたのさ。だから外の様子もだいたい知っているよ」
コーボ「そして今は立派に成熟したんだね。でも一年半もの長い時間貯蔵庫の中にいるって、いったいどんな気持ちかな」
生もと「何もしていない訳ではないんだよ。孤独の中で静かに瞑想しているんだ。するとね、自分がゆっくりと変化して、深みやまろやかさを増していくのを感じる」
コーボ「ウ〜ン、そうかあ…!」
生もと「普通の酒では夏を越える頃から弱り始めて脱落してしまうこともある。でも本当に良い酒はね、大きな弧を描くように数年かけてピークに達する。つまり、熟成とは忍耐と精神力を要する仕事なんだ」
コーボ「そこで真の潜在力をためされるって訳だね。そうなんだ。僕は最初、酒も出来たてフレッシュがいいのかと思っていた。勘違いしてたよ」
生もと「時間と共に成長し続けるというのは、偉大なことだ」
コーボ「ウン確かに」
生もと「私は冷涼な中にも、ちゃんと四季を感じられるこの貯蔵庫で、時の流れをゆっくり味わっている。良く出来た年の酒は遠くまで到達できるものだよ」
コーボ「何だか哲学的だね。そんなふうに時間をかけて、せっかく到達した品質だから、大事にしなくてはいけないよね。瓶に詰められるってこと、環境が変わって不安じゃあないかい?」
生もと「それは大丈夫だ。大七では全国で初めて、無酸素充填ラインを開発したからね」
コーボ「エッ、何?ムサンソジューテンラインだって?」
生もと「それはね、コーボ君。先ず洗浄した瓶を密封して中の空気を全部バキュームし、その代りに純粋な窒素ガスを封入してしまう」
コーボ「ねえ、その窒素ガスってどんなものなの?」
生もと「空気から酸素を取り除いたのが窒素ガスだ。最も安定していてお酒に影響を与えない」
コーボ「そうか。酸素があると何故いけないの?」
生もと「お酒が空気中の酸素に触れると酸化されて劣化してしまうのだよ。幸い大七のシステムでは、私がこの貯蔵タンクを出て瓶に詰められるまでの間、私は一切外気に触れることは無いのさ」
コーボ「じゃあ、瓶に詰められる時に劣化する心配は、いっさい無いってことだな?」
生もと「無論だ。日本で唯一のシステムだからね」
コーボ「すごい!太鼓判だ。もともと生もとは劣化しにくい力強い酒質なんだけど、もう無酸素充填ラインで鬼に金棒だ!」
生もと「そのとおり。このシステムは瓶に詰めてからの商品の品質を、長期間美味しく保つことが出来る。時間と共に成長するという私本来の長所を生かせる訳だ」
コーボ「商品になってからが、一番大切なんだよね。それじゃあ、気合いを入れて瓶に詰めてもらってね」
生もと「よしきた。お客様にうまいと喜んで飲んでもらうよ!」

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