シリーズ:お酒が語る、酒物語

「純米生もとCLASSIC」

コーボ 今から純米生もとクラシックさんを訪問だ。(トントン)こんにちは!コーボです
純米生もとクラシック ご機嫌よう、コーボ君。さあ、どうぞお入り
コーボ クラシックさんは、伝統を重んじる大七の中で、しかもクラシックというお名前。とても古風で厳めしい方かと、ドキドキして来ました
純米生もとクラシック ハハハ、どうぞお楽に。確かに私には古風な面がある。誕生は1999年。千年紀最後の年であり、締めくくりに大七としてどうしても出したい商品であったそうだ
コーボ 締めくくりに?それはどういうことですか?
純米生もとクラシック 私は言わば、古き良き価値観の代表だ。20世紀は技術が大いに進歩したが、大衆化の時代でもあった。日本酒はどれも淡麗化して、飲みやすく、分かりやすいことが優先された。市場がそうだからこそ、大七は先人達が大切にしてきた価値観を集大成したような、古典的な格調をもつ純米酒を造りたいと考えたんだ
コーボ なるほど!味わいはあくまで濃く深く、熟成してまったりした美味しさがある。それが大七が考える醸造酒の王道なんですね
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純米生もとクラシック そのとおりだよ、コーボ君。この味わいは元が十分に骨太でなければ、そして何年もの熟成を経なければ出てこないものなのだ。昔の名匠達はそれをやってのけたのだが、現代の酒造りで再現するのは、非常に骨の折れることだった
コーボ どうして!?現代のほうが技術は進んでいるでしょう?
純米生もとクラシック そうとも言えるが、現代人が求める洗練の水準もまた進んでいる!造る上で最大の苦心は、これだけ濃醇に旨みを引き出しながら、鈍重さや雑味は出さないことだ。長期間の濃厚な仕込みの中でも最大限の元気を保つ、強くて賢いコーボ達が必要なんだ
コーボ うわー、僕達がんばらなくちゃ!ところで、クラシックさんの箱には、紋章のようなデザインが二つあります
純米生もとクラシック うむ。上にある二頭のライオンのエンブレムは、伝統と今とを見据えている。そして下のギリシャ風の堅琴が象徴するのは、天と地の調和だ。理想と実践と言い替えてもいい。私達は伝統を今に活かす目をもち、理想を実践に移さなければならないのだよ
コーボ それは大七の哲学そのものですね!そんな意味があったなんて、初めて知りました。それで、クラシックさんにはどんな料理が合いますか?
純米生もとクラシック 今までの枠にとらわれることはないよ。君が自由に発想してくれたまえ
コーボ そうだなあ、この濃醇でスケール豊かな味わいなら、色々合いそう。牡蛎の土手鍋、ジューシーな牛もも肉のあぶり焼き、鴨の治部煮もいいな。しゃぶしゃぶなら胡麻ダレ、胡麻豆腐もいけるかも。それから、それから・・・
純米生もとクラシック 美味しそうなのが沢山出たな。ひとつ注文だが、私のことは常温やお燗で飲んでほしい。ぬる燗も熱燗もいいね
コーボ クラシックさんは、純米生もとファンのために造られた、さらに奥深いマニアックなお酒というイメージですが、実は海外でも人気なんですね
純米生もとクラシック そう。華やかな吟醸酒の人気とは違うが、上質な辛口白ワインの代わりに食卓に出されることが多い。もちろんチーズとの相性もいい
コーボ クラシックさんは復古の酒ではなくて、大七の今を現すお酒なんですね。これからも頑張ってください!