シリーズ:お酒が語る、酒物語

「箕輪門」

コーボ 今日お訪ねするのは、大七が誇るスターの箕輪門さん。 何しろ唎酒師を認定する専門家団体主催の「地酒大SHOW」で2年連続プラチナ賞、各種アンケートや品評会でも第一位を総なめだもの、向かうところ敵なしですね!
箕輪門 今日は、コーボ君。ずいぶん勢い込んで来たなあ
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コーボ ええ。今日はとても楽しみにして来たんです。初めにお名前の由来を教えてください
箕輪門 箕輪門とはね、ここ二本松のお城の門の名前だ。君も知っているように城は戊辰戦争で焼け落ちた。石垣と城門だけが、高潔と勇気のシンボルとして遺っているんだ
コーボ へぇー、お名前にも歴史や伝統を感じますね。箕輪門さん自身が登場した歴史は?
箕輪門 それは平成5年にさかのぼる。この時国の技官の斎藤富男先生が扁平精米理論を学術誌に発表された。米を正しく精米するには、従来の丸く削る方法は欠点が多く、むしろ扁平になるよう削らなければいけないという研究だ
コーボ 大七はすぐこの論文に注目したんですよね。他社は見逃していたのにどうして?
箕輪門 これが大七にとってブレイクスルーになると直感したからだよ。私達には問題意識があった。力強さと洗練との両立が大七が目指すものだが、複雑な生もと造りの酒を洗練の高みに持って行くのは、普通以上の高いハードルを乗り越えなければならない
コーボ その鍵が扁平精米だったんですね!それはすぐに上手くいきましたか?
箕輪門 それは困難な道のりだった。理論の正しさは証明されていたが、大量の米を扱う現場で実用化するのは無理とも思われていたからね。精米機メーカーも消極的だったんだ
コーボ だから自分達で試行錯誤しながらノウハウを編み出すしかなかったんですね
箕輪門 長い長い地道な努力の日々だったよ。そして発案した斎藤先生も驚かれたほどの究極の扁平精米に到達したんだ。私は平成7年に全国初の『超扁平精米』による生もと純米大吟醸として誕生した
コーボ そして精米部長の尾形義雄さんは精米で史上初の『現代の名工』に輝いた。ヤッホー!
箕輪門 これは嬉しかったな。今でも誇りに思っているよ
コーボ 僕も!ところで箕輪門さんの華やかさと気品のあるデザインは、とても好評です
箕輪門 ありがとう。モチーフはツタの葉だが、酒蔵と相性がいいんだよ。壁面のツタは夏の室温を3度も下げてくれる
コーボ なるほど。大七の高級酒の共通モチーフですね。皆、瓶詰めしてから低温貯蔵庫でじっくり熟成されている
箕輪門 そう。食事に合う純米大吟醸にはバランスの良い旨味が必要だ。香り先行ではダメなんだ。つまり熟成する時間が何よりも大切ということだ
コーボ そのためには『時間の試練に耐えうる酒造り』ですよね!どんなお料理がいいですか?
箕輪門 私はイクラやカニに合うお酒としてプラチナ賞をもらった。日本の懐石はもちろん、西洋料理の帆立や白身魚のソテー、鴨料理にも、軽く冷やして合わせてほしいな
コーボ 箕輪門さんは欧米の高級レストランで大人気です
箕輪門 うん。平成22年にはオランダ王室主催晩餐会に登場した初めての日本酒、という栄誉にも浴することができた
コーボ すごいや。これからも頑張ってください。応援してます
箕輪門 ありがとう。ではまたね