シリーズ:コーボ君、酒蔵探訪

「序 章」

コーボ 「大七の新築工事もいよいよ佳境に入ったな。重機の音や槌音も絶え間なく、人々も活気と誇りに溢れて働いている。
井戸爺さん 「お~や、おや、基礎工事で周りが掘り下がったから、ワシの背も地面から3m余りも高く出て、ずい分と見晴らしが良くなったわい。おや?向こうから久し振りにコーボがやって来たな。お~い、ここだよ」
コーボ 「やあ、井戸爺さん、元気?驚いた。ずい分背が高くなって、顔が良く見えないよ。しかも、ムチウチ症のように周りがギブスで固まってるし」
井戸爺さん 「ああ、難儀でも上まで昇ってきておくれ。このギブスはな、工事中ワシにもしもの事があってはいかんと、皆が心配して付けてくれたんじゃ。何しろ今後二百年は持つ基礎を作っとるんじゃから大工事だよ」
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コーボ 「ヒャー、やっと顔に辿り着いたよ。でも井戸爺さんも、しばらく何もできないね」
井戸爺さん 「ああ、じっと待つだけじゃ」
コーボ 「退屈だろうから僕がここで井戸爺さんにお付き合いだ」
井戸爺さん 「そりゃあ有難いことだ。嬉しいよコーボ。お前も立派に成長したものだよなあ」
コーボ 「うん、ありがとう。お陰様でね世界の色んな所へも行って沢山学ぶこともできたんだ」
井戸爺さん 「良かったな。大七は今までも長い歴史があったが、これからがまた新しい時代の始まりだぞ」
コーボ 「そうだね。メキシコ、アメリカ、フランス、ドイツ…。色んな所へ行ってみて、僕、改めて判ったんだ。僕たちの生もと造りは、ただの特殊な懐古的製法なんかじゃないんだよ。
井戸爺さん 「ほほう、そんなに顔を真赤にして熱弁をふるうとは、何と頼もしくなったことよのう」
コーボ 「だって井戸爺さん、ね、聞いてよ!」
井戸爺さん 「ああ、コーボや。その心意気だ。世界中の醸造家がしのぎを削っているのに、小手先の芸や手抜きで勝てる訳がないのじゃ」
コーボ 「うん。そうなんだよ!だから、もう一度僕も足元をしっかり確かめなくっちゃいけないと思うんだ」
井戸爺さん 「おお、そうよのう。米作りから醸造、そして商品になるまで。それぞれの工程を、もう一度最新の成果も含めてな。一緒に振り返ってみようじゃないか。長い長い物語りじゃ」
コーボ 「合点承知の助!」
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