シリーズ:郷土の宝物語

第4回「二本松提灯祭り」

コーボ ホラドッコイ!生もと君、今回はいよいよ僕の大好きな、二本松提灯祭りだ!
生もと 早くも興奮全開だね。お祭り男、コーボ君の出番だな
コーボ もう落ち着いちゃいられないよ。二本松提灯祭りは、秋田竿燈(かんとう)祭、尾張津島天王祭と並ぶ日本三大提灯祭りのひとつで、三百年以上の伝統をもつ二本松神社の例大祭だ。毎年10月4、5、6日の三日間行われるんだ
生もと 夜空を焦がす提灯の明かりが本当にきれいだね。一台に約三百個もの提灯をつけた大きな太鼓台、市内七町の7台が、若連や子供たちによって曳(ひ)き回される。太鼓台には9~10人の囃子(はやし)方が入って色んなお囃子を演奏するけど、同じ曲名でも町毎に節回しもリズムも違っていて、皆わが町が一番と競い合ってる
コーボ うん! 違うのはお囃子だけじゃなくて、太鼓台の構造も若連気質も、皆、町の個性があるんだ。例えば大七がある我が竹田町は、職人の町らしい自由奔放さが身上さ。太鼓台も七町一軽快で俊敏な動きをするんだから!
生もと オ、早速わが町自慢が出たな。各町みんな誇りを持っている。小中学生の小若(こわか)たちも、一生懸命お囃子を練習して立派な若連に育っていくんだね
コーボ 生もと君、まずは4日の宵祭りが一番の見所だよ。この日だけは太鼓台7台が勢揃いする七町合同曳き廻しが行われる。夕方5時に太鼓台が市内中心部に集合して、二本松神社からの御神火を待つ。各町の御神火走者が松明(たいまつ)を掲げて到着すると、号令で一斉に点火が始まる。これもどの町が早く三百個の提灯を点火し終わるか競争なんだ。天辺(てっぺん)まで全部点け終わったら、『すぎなり』という可倒式のタワーのような部分を起こすんだ。すると高さ約11mにもなる
生もと 観客も大喝采。七台揃うと本当に壮観だ。とっても盛り上がる瞬間だね
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コーボ 出発式が終わると七台は揃って竹根通りの終点を目指す。大七の前を往復で二度通ってくれるから、最高だよ!
生もと その後はいよいよ急な竹田坂の登りだ。重い太鼓台を曳く手に力が入り、若連も渾身の力で押し上げる。お囃子は一番威勢のいい『シャンギリ』だ。頂上を越えて下りの亀谷坂では哀愁のある『豊囃子(とよばやし)』
コーボ そうそう。場所に合ったお囃子で、曳き回しの仕方も各スポットで変わるんだよ
生もと 5日は本祭り。昼間の曳き回しでは提灯枠を外しているので、総漆、金箔の豪華な太鼓台をじっくり見てほしい。年に一度、御神輿が町内をめぐるのがこの日だ。上半身裸にサラシを巻いた若連が、御神輿を担いで疾走するそうそう。場所に合ったお囃子で、曳き回しの仕方も各スポットで変わるんだよ
コーボ そして6日が後祭り。この日は根崎、竹田、郭内の三町合同曳き回しと、若宮、松岡、本町、亀谷の四町合同曳き回しに分かれて行うんだ。僕ら竹田は三町で、霞ヶ城公園の箕輪門前で出発式を行う。これはもう、最高の見せ場だよ!
生もと ほんと、松明でライトアップされた石垣を背に三台の太鼓台が並んで勇壮なお囃子が始まると、ゾクゾクが止まらない。出発前には、大七の四斗樽による鏡開きもあるんだ
コーボ ほーら、生もと君。君だって立派なお祭り男じゃないか!
生もと そうだとも。四町側では神社の前に4台が勢揃いするよ
コーボ 最後は解散式。名残惜しいけど、祭りが終わると、いよいよ酒造りシーズン到来だ!
生もと さあ、また頑張ろう!
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