シリーズ:日本酒飲み方指南

第1回「飲む順番」

コーボ 日本酒の季節到来だね。生もと君、僕は日本酒の飲み方をもっともっと知りたいんだ
生もと いいとも。これから僕がじっくり指南してあげよう。まず何が知りたいかな?
コーボ あのね、お店で日本酒を頼むとき、どんな順番で頼めばいいの?ワインには飲む順番があるみたいだけど。
生もと ウン、洋食は野菜や魚介などのあっさりした料理から、牛肉などのヘビーな料理に進むことが多い。それに合わせて、お酒も軽めの白ワインから重厚な赤ワインに替えていくんだよ。和食でも最初はお刺身のような軽めのもので、後から焼き物、煮物が出てくるから、同じように考えることができる。軽快な日本酒からだんだん重厚な日本酒に替えていけば、最後まで楽しむことができるよ
コーボ ふーん。軽快なものから重厚にって、例えばどんな風に替えればいいの?
生もと そうだね、最初はフルーティーなすっきりした吟醸酒にして、後半はうま味のある純米酒にしてはどうかな。最初はフレッシュなお酒で、後からより熟成したお酒に替えていくのもいいよ。前半は冷酒に、後半はお燗にするのも良いアイデアだ。だんだん値段の高いお酒に替えていくという考え方もありだね
コーボ なるほど。順番の考え方はひとつじゃないんだね
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生もと そう。一番大事なのはお酒と料理のマッチングだ。お酒と料理の味わいがぴったり合うと、単独で楽しむよりも何倍も美味しくなるんだから。飲む順番は、その楽しさを壊さないための配慮だよ
コーボ ん?それはどういうこと?
生もと 例えば甘味の強いお酒、度数の高いお酒の後は舌の感覚が変わって、どんなお酒も薄く感じてしまう。だから僕はいきなり乾杯で甘いリキュールを飲むのはお奨めしない。また、腰を据えてじっくり味わいたい繊細な純米大吟醸のすぐ前に、アルコール度数の高い生原酒をもってくるのも避けたいな。少しずつ風味の強い酒に替わっていくように配慮すれば、どのお酒も美味しく楽しむことができるよ。
コーボ そうか。順番は、美味しく味わうための知恵なんだね
生もと ウン。何度も言うけど料理との相性が一番大切だから、順番は臨機応変だ。時にはイレギュラーで良いこともある
コーボ わかった。生もと君、大七の典型的な特別ディナーの時のお酒の順番を教えて
生もと いいとも。まず最初に微発泡性で食欲をそそる『雪しぼり・にごり酒』だ。続いてはなめらかなうま味の『皆伝』、より華やかさ芳醇さのある『箕輪門』、クライマックスにはフルボディで力強い『宝暦』や『妙花闌曲』など。吟醸系で頂点を極めた後は方向を転じて、濃醇なうま味の『純米生もと・山田錦』や『楽天命』。最後のデザートは『生もと梅酒』で決まりだね!
コーボ うわーっ、美味しそう!思わずヨダレが出ちゃう
生もと 大七の場合は、純米大吟醸など高価なお酒ほど力強くてメインディッシュに合わせられるのが大きな特徴なんだ。でも一般には、純米大吟醸は若くて軽めの酒である場合も多いから、それがメインディッシュに力不足な時は、コクのある純米酒や熟成酒を合わせるといいよ
コーボ 色々教えてくれてありがとう。選べる自信がついたよ。
生もと お安いご用だ。これから一緒に飲み方を極めていこう